マーク・コーン&スザンヌ・ヴェガコンサート

夏ごろにNY周辺のコンサート情報をチェックしていて目に留まったMarc Cohn & Suzanne Vegaの日がついにやってきた。チケットを買う時点では半年も先なので、果たしてその頃にNYにいるかどうかも怪しかったが、そんなことを言っていたら何もできないのでえいやっとチケットを買ったのだった。Richard Thompsonの時と同様、その後郵送されてきたチケットが宛先人不明で届かなかったという事故があったり、直前まで日本に行っていたりしたが無事帰ってくることがきて当日を迎えることができた。

Marc Cohn & Suzanne VegaのチケットMarc Cohn & Suzanne Vegaのチケット

今回の会場はニュージャージー州のEnglewoodという町。半年前と比べると、近くを自転車で通っているのでいくらか土地勘が働く。改めて行き方を調べると、George Washington Bridgeのバスターミナルからバスが出ているが、Port Authorityからもバスで40分ほどらしい。当日は6時にlulunと落ち合って夕方のラッシュの中をPort Authorityへ。

入ってすぐのところに切符の自販機があるのでそこに並ぶ。見ていると路線番号を行き先のゾーンを数字で入力しなければならないので、わからなくて立ち往生する客がぽろぽろいる。乗り慣れていなければ無理もないぞ。kameは幸いバスは166系統だと知っていたし、料金が確か3ドルぐらいだったと記憶していたので一応クリア。

それから166番の乗り場を探すのだが、ターミナル内にどの路線がどのゲートから出るかが全く表示されていない。てっきり空港みたいなおおきな電光掲示か、Grand CentralみたいなTVモニタが随所にあってわかるのだと思っていたが、そんなものはどこにもない。案内ブースを見つけて訊いてようやく判った。不便この上ないぞ。

乗客は多いが、この時間帯はぼんぼんバスが出ている。Englewoodに行く166番は10分と空けずに出発していく。満席になったら発車。東京の通勤と比べたら楽なもんだ。トンネルが混んでいるかと思いきや、すいすいと走って7時にはEnglewoodに到着。夕食を食べて会場のBergen Performing Arts Centerに入ってチケットを受け取り、2階の最前列中央の席に座る。

Bergen Performing Arts CenterBergen Performing Arts Center

会場内を見渡すとやはり平均年齢は50代か。開演の時間が迫っている割には人が少ない。チケットを買った時点では良い席はほとんど売れていたのに、その後買う人がほとんど現れなかったということか。結局始まっても明らかに売れていない席が目立っていた。

ステージのセッティングが進む中、スクリーンには今後のイベントのお知らせが流れる。なぜかkameが名前を知っているような連中ばかり。Neville Brothers & Dr. Johnは数日前に来ていたし、次はKansas、もっと先にはAretha Franklin、Michael Bolton(まだやってたのか)、America、Todd Rungren、George Benson、Hall & Oats、Pat Benatar、Earth Wind & Fireとまあ驚くしかない。どうしてこうもオールドネームばかりが来るのか、と考えて気がついた。郊外には昔若者だった連中が移り住んできていて、当然アーティスト側も客が集まりやすい会場を選ぶわけだ。今若者の連中は彼らには興味がないので、必然的にマンハッタンではなく郊外でしかギグをしなくなるという構図に違いない。

Bergen Performing Arts CenterBergen Performing Arts Center

そうこうしているうちに照明が消えて場内にアナウンスが。「ジョージ・ワシントン・ブリッジの向こう側より、スザンヌ・ヴェガ」。kameは今までに2度スザンヌ・ヴェガを観ているが、最後はSolitude Standingが出た後のツアーだったので、今回はざっと20年ぶりということになる。やや遠目からだとほっそりしてほとんど変わっていないようだ。歌い出した声がまた全然変わっていない。語り口も相変わらずちょっとシニカルで昔のまんまだとちょっと嬉しくなる。いや、今の方がリラックスして元気そうかな。若い頃は辛いこともあっただろうし。

曲目も思いのほか最初のアルバムのものが多く、この日はたまたま新作の発売日でもあったがこれも古い曲をレコーディングし直したものだというから、あまり曲を書かなくなっているのかな。その新作がラブソング集だというのはバレンタインデーを前にいかにもだがまあ許そう。

たっぷり1時間楽しませてくれてから、最後にLukaとTom's Dinerを歌ってスザンヌ・ヴェガのステージは終了。観客がけっこうおとなしいな、と思っていたらどうやらあまりスザンヌ・ヴェガの歌をあまり知らないみたいだ、と気がついたのはLukaのイントロにほとんど反応がなかったからだ。その後、Marc Cohnのステージが始まる時にはボリュームがだいぶ上がったので、客の大半はMarc Cohn目当てだということが判った。

kameとlulunはマーク・コーンという名前すら知らず、スザンヌ・ヴェガと一緒に出るからということで半年かけて予習してきたという程度だ。マーク・コーンがピアノを弾く人だということも知らなかった。へえ、こんなオッサンだけどたいした人気だな、と思ったが、確かに歌はうまい。ソングライターとしてはコード進行に歌をかぶせていくというタイプでメロディーに乏しい。kameが良い曲だと思っていたListening to LevonやWalking in Memphis、True Companionがステージでも大人気だったのは理解できる。スザンヌ・ヴェガ同様、マーク・コーンも新作を準備中で、しかも1970年にリリースされた曲を集めてカバーしているという。「レコーディングは好きだけど気に入った曲を12曲も書けないから」だと自分でも言っていた。そうして披露したCCRやポール・サイモンの曲は確かに良い。あるいはマーク・コーンの声と相棒のおじさんのギター(こいつがまた良い)だけで演奏されると曲の良さが際立つ。同時に良い曲を歌うとマーク・コーンの歌の良さが出てくる、という相互作用で、この新作はけっこう期待できそうだ。本人も楽しそうだし、翌日のギグは既に大雪でキャンセルになったため、いくらでも歌ってやりたいという勢いだった。

最後はTrue Companionで締めくくり(その前にThe Last Living Boy in New Yorkを歌ったのは大失敗だと言いつつ)、会場が明るくなった時は11時を回っていた。なんでもマーク・コーンとスザンヌ・ヴェガがデュエットでBaby, It's Cold Outsideを歌うという情報もあったので、そのまま終わってしまったのは残念。

帰りの足を心配しないで済むのはNYの良いところだが、さすがにバスの本数が少なくなっていてiPhoneで調べたところ11時50分頃にGeorge Washington Bridge行きとPort Authority行きが続けて来る。雪がちらつき始めた中で待ち、先に来たバスでGeorge Washington Bridgeのバスターミナルへと向かう。そこから地下鉄の駅までは深夜のハーレムの街を歩くことになるので多少緊張しつつも無事1番の地下鉄に乗ってTimes Squareへ。こんな時間なのにまだ3番が快速運転していたのは驚きだ。また、逆方向の快速用線路が車庫替わりになっていて、延々と電車が数珠つなぎに停っているのにはさらにびっくり。

乗り継ぎが予想より良かったので1時半になる前に家に到着。二人とも眠かったのに寝付きが悪かったのは興奮していたからか、それとも単に時差ボケだったのか。