Sandy HookからHenry Hudson Trailへサイクリング

Sandy Hookのことは職場の同僚から聞いてから一度行ってみようと思っていた。Governor's Island同様、以前は軍の施設があったが今はゴーストタウンになっているという。近年になって快適な自転車道も整備されているそうだ。

調べてみるとWall Stの桟橋、Pier 11から船で行ける。Ikeaフェリーと同じところだ。2時間おきぐらいにあるが、夏場は海水浴客で賑わうそうなので混むのではないかと予想していた。

ようやく暑さが一段落してサイクリングに適した気候になったので、朝起きてからえい、今日行こう、ということになった。Sandy Hookだけでは物足りないが、Atlantic Highlandsから鉄道の軌道を自転車道にしたHenry Hudson Trailと組み合わせるとちょうど良さそう。帰りはAberdeenからNJ Transitの電車に乗ればいい。

我が家からPier 11までは1時間で着けると読み、ついでにGimme Coffeeでコーヒーを買ってからせっせと自転車をこいだ。できればそのへんでサンドイッチでも仕入れて行こうかと思っていたが、着いたのは出航5分前。切符売り場には長い行列ができている。船のところに行って訊くと現金ならその場で買えるというので、二人分の運賃と自転車代各5ドルを払い、前方のデッキに群れている自転車たちに自分たちのも加えて客室へ。

Sandy Hookに向かう高速船、前方デッキは自転車がいっぱいSandy Hookに向かう高速船

船は予想したよりだいぶ大きいので席には余裕があるが、実に気持ちのいい日なのでデッキは人だらけ。ほとんどの客はいかにも海水浴に行きます、という出で立ちだ。往復を船にしたくなかった理由の一つに、混んで乗り切れなかったら嫌だな、というのもあったので、そのへんが杞憂だったことがわかったのも収穫だ。

時刻表を読み間違えていたため、1時間ほどかかると思っていたら30分ほどでSandy Hookに到着。意外と近い。予想通りほとんどの客がここで降りた。ビーチに向かうシャトルバスが待機していて、ほぼみんなが係員に行き先を訊いているのでなかなか上陸できない。

Sandy Hookの桟橋ではビーチ行きのシャトルバスが待機 Sandy Hookの桟橋ではビーチ行きのシャトルバスが待機

Governor's Islandと似ているが、建物が一様に黄色っぽく統一されているせいか雰囲気がちょっと違う。ここも広々とした敷地に建物がゆったりと建てられている。すぐ側に沿岸警備隊がまだいるので、多分そこの人たちが住宅としてまだ住んでいる家もあるもで純粋なゴーストタウンではない。こういうところで暮らすのってどういう気分なんだろう。ちょっと想像できないな。

Sandy Hookのゴーストタウン。だいぶ傷んできた家屋。 だいぶ傷んできた家屋

Sandy Hookのゴーストタウン。独身士官用住居。 独身士官用住居。

Sandy Hookのゴーストタウンの旧消防署 旧消防署

Sandy Hookのゴーストタウンのクラブだったという建物 クラブだったという建物

岬でもないところに灯台があるのは妙だな、と思っていたら、かつてはここが岬だったらしい。南からの海流で土砂が北のほうに堆積するので、灯台がかなり内陸になってしまったようだ。

 Sandy Hookのゴーストタウンの灯台。かつてはここが岬だった。灯台

集落の外にはかなり大規模な砦のようなコンクリートの施設が立ち並んでいる。第二次大戦中にここまでしたのか、と今になってみれば大いなる無駄だが、当時は本気で心配だったのだろう。どうやらここはその後兵器の試験場としての機能を持っていたらしく、不発弾に注意という看板も立っている。

Sandy Hookのゴーストタウン Sandy Hookの砦の跡 砦の跡

Sandy Hookの砲台に残る高射砲砲台に残る高射砲

ビーチはきれいで広々としている。というか人が実に少ない。涼しくなったということもあるだろうが、こんなビーチだったら夏の間に来てだらりとするのも悪くない。設備は一通り揃っているので、幸いホットドッグとポテトのお昼にもありつけた。一説によると北の方のビーチが空いていて、その理由は南側にはヌーディストビーチがあり、そっちに人が集まるからだという。ヌーディストを隔離するあたりがアメリカ的。フランスなんかどこにでもいるのに。

Sandy Hookのビーチ ビーチ

Sandy Hook北端あたりの自転車道はまだ新しく、砂地の植物を眺めながらゆったりと走るのが気持ちいい。時折木立の中を通るので日陰もあるし、適度にカーブもあるので退屈しない。ここならスケートに来るのもいいだろう。

快適なSandy Hookの自転車道 快適なSandy Hookの自転車道

Sandy Hookの植生: サボテンの実サボテンの実

途中、冷戦中に作られたパトリオットみたいなミサイル誘導レーダーの施設もあり、大小のミサイルも道路脇に何食わぬ顔で鎮座している。今でこそ普通に写真を撮れるが、冷戦期はこのあたりはピリピリしていたのに違いない。そもそもこんな所にいるだけでスパイだ。

Sandy Hookに展示してあるミサイル展示してあるミサイル

走っていると次々とビーチがあって、駐車場にはけっこうな数の車が来ている。夕方には大渋滞になるというのもうなずける。本土からSandy Hookに渡る橋は拡張工事中のようで、いずれはちゃんとした自転車道もできるようだ。去年から工事しているようだがまだできていない。

Sandy Hookと本土を結ぶ橋 Sandy Hookと本土を結ぶ橋

Atlantic Highlandsは海水浴客の車が多くてあまり快適ではない。家並みを見るとあまり裕福そうではないので、高速船でマンハッタンに通勤するような人たちは高台の方にでも住んでいるのだろうか。

町の西側の外れまで行くと公園があり、そこがHenry Hudson Trailの起点になっている。案内板のところに地図があったのでゲット。ここからしばらくは海岸沿いの砂利道を走る。陸側には大きな家が立ち並んでいる。そうか、高速船で通勤しているのはこのへんの住人か。

Henry Hudson Trail入り口 Henry Hudson Trail入り口

最初の町に入ると急に自転車道がなくなる。わかりにくい地図を見て多少迷いながらもなんとか自転車道を発見して続きを走る。幹線道路沿いの工業地帯と住宅街が入り交じったようなところが延々と続いていてやや単調だ。木立の中を走る時は気持いいが。

Henry Hudson TrailHenry Hudson Trail

だいぶ気温が上がったので途中で水分とアイスクリームを補給してさらに走る。時々湿地があるのでカヤックに来るのも悪くないな、と思っているうちに急にまた自転車道が途切れた。Aberdeenまで来たようだ。この少し先からまた自転車道が続いているが、今日はここから電車に乗って帰る。

Aberdeen-Matawan駅はすぐそこ。NJ Transitの自転車関係の規則を予習しておいたので、折りたたみ自転車は終日可、ただし3ドアのうち中央、車椅子マークの付いたドアに乗らなければいけないということはわかっていた。いざ電車がホームに入ってきたら3ドアの車両は先頭に一両あるだけであとは2ドア。慌てて先頭車両に向かおうとしたら、車掌が自転車はダメだという。え?だってこれ折りたたみだよ、と言ったらそれじゃたたんでから乗れという。kameのDowntubeは2秒でたためるが、lulunはGoBikeを辛うじてたたみましたという状態にしてなんとか乗り込んだ。車内は意外と混んでいるのでドアのところに自転車をおいて近くの席に座る。

次の駅でもう一台折りたたみ自転車のおじさんが乗ってきた。これおまえのか?と訊いてきたのでちょっと話していると、どうも同じ駅でもう一台普通の自転車を持ち込もうとした人が乗車拒否されていたらしい。一時間に一本しかない電車に乗れずに、しかも次も乗れるかわからないというのはかなり悲惨だ。こういう時には折りたたみにして正解だった、と思うが、NJ Transitにはもう少しなんとかしてほしいぞ。

Penn Stationに到着後、地下鉄は乗換が面倒なので一駅分走って移動しようか、といったん外に出る。そういえばここはBrooklyn Bagelsが近いな、と寄っていくことにして7th Aveを南へ向かって走りだした。しばらくしてlulunが待って、というのでなにかと思ったら「チェーンがない」。はあ?と思って見ると本当だ。チェーンが切れて落ちてしまったらしい。今までも折りたたみのたびにチェーンが外れたりして、構造的に負荷が高そうなのはわかっていたが、こんなことになるとは。交通量が多いので拾いに戻るのは止め、ちょうど28th Stの駅だったのでそこから地下鉄で帰ることにした。チェーンを切りながらも現場が駅の目の前だったのでlulunは「私って強運の女?」と強気だ。

ここまで来たのでkame一人がBrooklyn Bagelsへ向かったが、なんと今日は3時で閉店。やむなく引き返したら「Murray'sは?」と訊かれ、行かなかった、と言うとちょっと不満そう。だってBrooklynに行くことしか考えてなかったんだもん。

地下鉄1号線は混んでいるので、別々のドアからなんとか乗り込む。42nd St/Times Square駅で降り、lulunが降りてくるのを待つがなかなか出てこない。あれ?と思ってドアに近づくと、lulunは何食わぬ顔でまだ車内に立っている。「!!!」と思った時にはドアがすーっと締まり、ようやくlulunが「しまった!」という表情になった。電車が出る前に、ここで待ってる、ということを辛うじて伝えた。

やれやれ、とベンチに腰を下ろして待つことしばし。lulunは強運かもしれないがこっちは凶運だぜ、などと思っていると、斜め後ろに座っている女の人が隣のおばちゃんに「ここに住んでる?」と話しかける。おばちゃんが首を横に振ると今度はkameに同じ質問。「ええ、まあ」と答えると、「7番はどのぐらいの頻度で来るの?USオープンに行きたいんだけど」「7番はそこの階段を降りたとこのホームですよ」「オー!」といって慌てて去っていった。その姿を見送っていると向こう側に座っているスキンヘッドのおじさんと目が合い、顔を見合わせたあとに笑いがこみ上げてきてそのうち大笑い。一体いつから待ってたんだろう。期せずして楽しい目にあった。見知らぬおっさんと一瞬だが心が通じてちょっと幸せな気分。

lulunが強運なのは間違いない。

本日の走行距離: 約35km

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