Tedeschi Trucks Band w/Richard Thompson at Beacon Theater

大好きなリチャード・トンプソンのツアー情報は逐一チェックしているのだが、ある日Beacon TheaterでTedeschi Trucks Bandの前座を務めるということが出ていた。Beacon Theaterって聞いたことあるな、と思ったら、以前暮らしていたUpper West Sideにある劇場ではないか。単なる近所の劇場と思っていたが、トニー賞の授賞式などもやる格式高い会場らしい。

土, 2012-09-22 19:05 - Beacon TheaterBeacon Theater
Beacon Theater

こりゃ近くていいぞ、とさらに調べたらTedeschi Trucks Bandは3夜連続、しかも前座がLeon Russell、Wood Brothers、リチャードおじさんという垂涎のラインナップ。この時点ではTedeschi Trucks Bandが何者か知らなかったので、前座だけの3日間通し券とかないのかな、と思ったりした。

次はTedeschi Trucks Bandって何者?となるのだが、YouTubeで見てみるとわりと普通のブルースロックバンド。ふうん、まあまあだな、わざわざ見に行くほどでもないか、とパスしようかという気分になっていた。この秋はニール・ヤング、スザンヌ・ヴェガ、CS&Nともう色々予定が入っているし、リチャードおじさんは2月にオール・リクエスト・ショーを観ている。

そんな中、偶然TwitterのTLにTedeschi Trucks Bandという文字列が流れてきた。音楽ではkameと親和性が高いうっちーさんである。彼女が気に入っているのなら行く価値あるかも、とむくむくとその気になってTicketmasterを見てみると、一人50ドルぐらいの安い席がまだあってしかもオーケストラの中央のやや後方と値段にしては良さそうだ。じゃあ行ってやれ、とチケット買い、図書館でCDを借りて一週間だけ直前予習。この程度の予備知識で観に行っちゃうのはやや抵抗があるが、本来の目的はリチャードおじさんなので一応「正当な」理由がある。

予習してちょっと意外だったのは、ライブ盤のEverybody's Talkin'よりスタジオ録音のRevelatorの方が印象が良いこと。その理由は大編成なのでステージではソロを回すのに時間がかかり、間延びした感じになってしまうから。現にEverybody's Talkin'収録曲の半分は10分以上ある。主要メンバーのSusan Tedeschiの歌とDerek Trucksのスライドギターがスタジオとライブであまり変わらない分スタジオ録音の方がよく感じたのだろう。

土, 2012-09-22 19:40 - Beacon TheaterBeacon Theater
Beacon Theater入り口ホール

そんなわけで期待値をやや低めに設定して向かったBeacon Theater。Hummus Placeで腹ごしらえをして、開演30分ほど前に到着、United Palace Theaterに似た装飾を眺めながら開演を待つ。

土, 2012-09-22 19:45 - Beacon TheaterBeacon Theater
Beacon Theater入り口ホール
土, 2012-09-22 19:47 - Beacon TheaterBeacon Theater
ステージ
土, 2012-09-22 19:47 - Beacon TheaterBeacon Theater
ステージ脇
土, 2012-09-22 19:56 - Beacon TheaterBeacon Theater
椅子

少し前の席に同年代の日本人がいて、女性のほうが話しかけてきた。なんでもNYに一ヶ月滞在してぶらぶらしているそうだ。在住者が言うのも変だが羨ましい。コンサート情報はどうやって入手しているのか、と訊かれたのでPollstar.comを教えてあげたら喜んでもらえたようだ。好きなアーティストが近くに来る情報をキャッチする良い方法は意外とないのだ。

土, 2012-09-22 20:31 - Richard ThompsonBeacon Theater
Richard Thompson

予定通り8時過ぎに黒服にベレー帽のリチャード・トンプソン登場。まだだいぶ空席が目立つがその割には盛大な拍手。前座としてはまず破格の待遇に本人もちょっと驚いたようで「クレイジーな客だな」と機嫌がよさそう。「今日もバンドにすっぽかされてね」といつものギャグで歌い出したのはなんと聞いたことのない曲だ。二曲目も知らないので、またTown Hallの失敗をやらかしたかと思ったら次はValerie。新しい曲はどうやら近々発売の新譜に入っているらしい。

土, 2012-09-22 20:08 - Richard ThompsonBeacon Theater
Richard Thompson

観客の中には筋金入りのファンがけっこういるようで、リクエストがどんどん飛ぶ。リチャードおじさんはそのへんを適当にあしらいながらWalking on a Wire、Vincent Black Lightning 1952、She Twists the Knife Again、Ghosts in the Wind、Sunset Song、Crawl Back、Persuasion、Cooksferry Queen、そして腕時計を見て「これで最後だな」とBathsheba Smiles。ほぼ9時ちょうど。今まで何度も観ているリチャードおじさんのソロだが、今回の選曲はなかなか良い。観客も喜んでいるし本人も満足そうだ。元気そうで良かった。

30分ほどの休憩を挟んでいよいよTedeschi Trucks Bandが登場。ここから観客はほぼ立ちっぱなしで、小柄な女性の「座ってよ、見えないじゃない!」という訴えも全く通じない。lulunが通路側の席で良かった。

土, 2012-09-22 21:29 - Tedeschi Trucks BandBeacon Theater
Tedeschi Trucks Band

オープニングはLove Has Something Else to Sayで、まさにあのスーザンの声とデレクのギター。11人編成のビッグバンドだがタイトでサウンドの抜けが良く、ライブ盤のCDよりはるかに良いと感じるのはやはり生の迫力なのだろうか、と思ったけど、何よりデレクのギターの凄さが録音とはまるで違う。おお、こいつはすごい、と引き込まれるものがある。ほかのメンバーも上手いのだが、明らかに格が違う。

土, 2012-09-22 21:47 - Tedeschi Trucks BandBeacon Theater
夫婦でギターの掛け合い

しばらくしてスーザンの語りが入ると、あれ?まるで少女のような可愛い声でワイオミングあたりから出てきた田舎娘のよう。歌はハスキーでコブシが回っているのにこのギャップはなんだ。「Beacon Theaterで演奏するのは光栄なことで、ここには色々な思い出があるけど、例えばLevon Helmを観たのもここ」というところで大歓声。「レヴォンは今ごろ天国でジミヘンとジャムってるかしらね」と言って始めたのがThe Night They Drove Old Dixie Down。鳥肌が立ったのはkameだけではあるまい。

土, 2012-09-22 22:05 - Tedeschi Trucks BandBeacon Theater
フルートのソロ

11人いるメンバーにちゃんと見せ場を作りながらソロを回すところは録音と同じ。でも間延びした感がないのはやはり目の前で人が動いているからか、というか一人一人の個性が見えるからか。バックボーカルの二人、トロンボーンの小柄なおっちゃん、ドラムスの二人、気さくなペット、地味なサックスといった脇役も、そこに人がいるというだけでかなりの情報が伝わってきて親しみを覚える。

土, 2012-09-22 23:26 - Tedeschi Trucks BandBeacon Theater
スーザン+少人数のバンド

Laylaに入っているAnydayを始めた時、そーだ、デレクはデュアン・オールマンにすごく影響を受けてるに違いない、っていうかそのまんまじゃねーか、と遅ればせながら気がついた。あとでわかったことだが、実はデレクはオールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナルメンバーの甥で、最近はオールマンの正規メンバーとして活躍していたらしい。ついでに13歳の時にバディ・ガイと共演している。まるでQuinn Sullivanだ、というかやっぱりバディはそういう男なんだ。

Bound for Gloryでひとまず終了。スーザンが「ありがとう、日本で聴いてるみんなも」と言っていたのでなぬ?と思ったが謎はそのまま。

土, 2012-09-22 23:45 - Tedeschi Trucks BandBeacon Theater
アンコール

アンコールにはウォッシュボードの男と、誰だかわからないギターの男がゲスト(?)で登場。4曲のアンコールが終わり、ほかのメンバーがステージを去ってもスーザンは客席に手を振り続けている。11時を回っているからか、それを尻目に足早に出口に向かう客が多いのにはちょっと驚いた。それは失礼なんじゃ、と思うけど、遠くから来てる人は早く帰りたいのかもしれない。終電を気にしなくていい人ばかりじゃないし。

リチャード・トンプソン登場から3時間、とても充実した夜だった。lulunも楽しかったと喜んでいる。せっかくNYにいるんだから、迷ったらとりあえず行く、という行動を取るようにしなければ今回のうっちーさんにも、来週のニール・ヤングの背中を押してもらったやまさんにも申し訳がない。

当日のセットリストはsetlist.fmで。