Global Citizen Festival

夏の野外コンサートは当たり外れが激しい。例えばProspect Parkではそよ風に吹かれながらゆったり音楽を楽しめることが多いが、悪天候(チープ・トリック)や悪企画(バディ・ガイ)に台なしにされることもある。総じて言えばライブというものはちゃんとしたホールできちんとお金を払って観るのが正しい、というのがここ数年の結論。

土, 2012-09-29 17:33 - Global Citizen FestivalGlobal Citizen Festival
Global Citizen Festival会場までの長い通路を歩く観客

ところがある日、ニール・ヤングのライブがセントラル・パークであるという。CS&Nは今年になって観たし、秋にもう一度観る予定もあるが、ニール・ヤングはまだ観たことがない。どういうことなのかと思ったら聞いたことのないバンドが色々出るGlobal Citizen Festivalという野外フェスのトリで、見たところうるさめのギターが主体のロックバンドを集めたイベントのようだ。そこでCrazy Horseを従えたニール・ヤングといえば、どういうショーになるかは95%ぐらい想像できる。何しろ70年代から全く同じスタイルでやってるわけだから。

同じニール・ヤングなら一人でアコギの弾き語りをやってもらいたいところだが、こうういう企画ならあまり期待できない。しかもGlobal Citizen Festivalのチケットは抽選制で、貧困撲滅キャンペーンに参加してポイントを稼がないと抽選権が得られないという仕組みになっている。なんか面倒だなあ、どうせ近くでは観られないし、聞きたくない音楽を聞かされて何時間も待つのは苦痛だし、しかもクレイジー・ホースでしょ、この秋はイベントの予定も多いしパスするかあ、という気になった。

ところが偶然Twitter仲間のやまさんからニール・ヤングという言葉がこぼれて、やっぱりこれは行くべきかな、という気になった。この機会を見逃したら元気なニールに会えることはないかもしれないし、こういう偶然は何かの導きかもしれないと思い、とりあえず必要最小限の善行ポイントを稼いで抽選に応募した。kameは職業柄こういうキャンペーンには懐疑的だし言いたいことは山ほどあるがまあよろしい。

当選のお知らせが来たのが8月20日。意外とあっさり当たっちゃったので、チケット余ってるのか?と思ったぐらいだが、これもまあよろしい。とりあえずlulun用にニール・ヤングの予習プレイリストを作って準備することにした。

その2週間後、iPhone 5の発表があった。いや、これが実はおおいに関係ある。例年通り、発表イベントの最後にミュージシャンが登場したのだが、これがなかなかいい。今までにもAppleのイベントで知ったアーティストはJohn Mayer、KT Turnstallなどがいるが、このFoo Fightersは群を抜いていい。しかも最後にやったWalkなんかしびれるほどいい曲だ。珍しくちょっと興奮してFoo Fightersのことを調べだしたらなんとセントラル・パークでのギグが予定されている。あれ?と思って確認したらGlobal Citizen Festivalに出ることになっているではないか。Foo Fightersという名前を知らなかったから全然認識していなかった。

急いで図書館でCDを借りて予習。Appleのイベントではアコギだったが、普通はうるさいギターバンドでlulunには許容範囲ぎりぎりらしい。チープ・トリックみたいだと言う。確かにハードなギターとキャッチーなメロディー、個性的なヴォーカルという共通点はある。一週間程集中的に予習して当日に備えた。

土, 2012-09-29 17:54 - Global Citizen FestivalGlobal Citizen Festival
長蛇の列

9月29日、開演は夕方5時だが最初のラップの人には興味無いので5:30頃到着を目指して出発した。ところが週末なので地下鉄の運行が不規則、しかも北に向かう電車は大混雑。ようやくC線の72nd St駅を出た頃には5時半になっていた。ぞろぞろと人の波に乗ってセントラル・パークに入り、専用通路をひたすら北へ歩く。会場のGreat Lawnは10ブロックほど先なのでけっこうな距離だ。後ろを歩いてるねえちゃんは「こんなに歩いたの生まれて初めて」なんて言ってる。そうこうしている間に2番手のBand of Horsesがステージを去ったようだ。こいつらは観てもいいかと思っていたから残念。荷物チェック、チケットチェックを通過したらImagineが聞こえてくる。ここでこんな曲を歌うなんてちょっと反則だろ、でも気持ちはわかるなあ、と思いながら一緒にImagineを口ずさみながら足早に会場を目指す。ようやく視界が開けた時にはその声の主、John Legendがステージを去るところだった。飛び入りだったらしい。

土, 2012-09-29 18:01 - Global Citizen FestivalGlobal Citizen Festival
Imagineを歌うJohn Legend

とりあえず前に進んでいくが、すごい人でとてもステージが見えるところまではたどり着けない。後方で芝生に座ってゆっくりしている人たちと、立って観ている人たちが混在するエリアにひとまず陣取る。体力が持たないので持ってきたビニール袋を広げてとりあえず座る。ステージでは貧困撲滅のメッセージを有名人らしい人たちが出てきて喋っている。もちろんlulunとkameには誰だかわからないが、そのへんの人たちも「なんかの番組で看護婦やってる人だっけ?」とか言っているのでその程度の有名人のようだ。「貧困をなくすには社会の構造を変えなきゃいけないのよ」ともっともなことを言ったりしてるが、ううむ、そうだけどだからどうしろと?と思わずにはいられない。会場内にいくつもある大画面に映し出される啓蒙ビデオを観るという手軽な行為と社会の構造を変えるという目標にはえらいギャップがある。

土, 2012-09-29 18:03 - Global Citizen FestivalGlobal Citizen Festival
政治家らしき人が喋ってる

そうこうしているうちにステージにBlack Keysが登場。lulunもkameも日本人としては決して背は低くないが、周りが高いので背伸びをすればようやくシンバルが揺れているのがわかる程度。人間はケシ粒ぐらいだ。人の頭の隙間からステージの背後、あるいは左右にある画面を見るので精一杯。音は立っていればほぼ聞こえるが、バスドラはすごいエコーだし風向きによって音量も変わる。あと耳に入ってくる音と画面の映像に0.5秒ぐらいのタイムラグがあって微妙に気になる。その映像も実物とはタイムラグがある。スタジアムの歌とか手拍子のリズムがめちゃくちゃなのはこういうことか。

土, 2012-09-29 18:11 - Black KeysGlobal Citizen Festival
Black Keysを観る観客

Black Keysはたいしたことないがけっこう長く演奏したので体力温存のため途中から座った。座ると見事に聞こえなくなるので人間というものの吸音効果はたいしたものだ。またしばらくお話とビデオがあり、ようやく画面にFoo Fightersのロゴが。

土, 2012-09-29 19:40 - Foo FightersGlobal Citizen Festival
Foo Fightersのロゴ

オープニングはiPhone 5の時と同じTimes Like These。直前のBlack Keysと比べるとヴォーカルの力が全然違うし、曲も良いし同じ悪条件で全体のサウンドの迫力が違う、と感じるのは気のせいか。ベスト盤とWasting Lightだけだが直前予習の効果があって知っている曲ばかりなのも嬉しい。やっぱりこいつらすごいぞ、一度ちゃんとしたホールに観に行かなきゃ、と思っていたらヴォーカルのDave Grohlが「この後はギグの予定がない」「次はいつになるかわからない」「最後がここなんて素敵」とか言ってる。え?まさかこれがラスト・ワルツ?と思って翌日ニュースを探したら事実上の活動休止宣言だったらしい。どんな事情があるのかは知らないが、Dave Grohlはソロでのギグの予定を組んでいるのでまだ観ることはできそうだ。でもあのドラムスがいないのはかなり残念。

土, 2012-09-29 19:33 - Foo FightersGlobal Citizen Festival
画面に映ったDave Grohl

中盤のArlandria、These Days、Walkで来たかいがあった、と満足。全9曲で終了。Foo Fightersがステージを去るとかなりの数の観客が帰り始めるのはちょっと意外。あとでわかったがFoo Fightersはウェンブリーを2日連続満員にできるほどのビッグネームらしい。若い人はニール・ヤング知らないだろうし。

前方にスペースができたようなので少し前に進んでみることにした。30mぐらい前進したのでステージが近くなったが、周りに背の高い人が増えてさらに見にくくなってサイドの画面でさえ人の頭の隙間からしか見えない。しばらくポリオ撲滅キャンペーンの話を聞いて(「まだ一度もポリオが絶滅してない国は3カ国だけ、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリア」、でも理由には触れない)、ついにNeil Young & Crazy Horse登場。

土, 2012-09-29 21:05 - Neil Young & Crazy HorseGlobal Citizen Festival
Neil Young

画面によるとだいぶ頭が薄くなった以外はけっこう元気そうなニール・ヤング。あの歌声はもちろん、ガギガゴ、ギャギギ、というギターも健在。あらゆる意味で予想通りなのだが、Foo Fightersの直後が30年前にパンクが否定した形式そのまま、というのも奥ゆかしい。

途中アコギを持って歌ったのは2曲だけで、知っていた曲はThe Needle and the Damage Doneだけ。そうそう、こういうのをやってほしいのだよ、と思ったらすぐエレキに戻って、エンディングには出演メンバー総出のRockin' in the Free World。Dave Grohlがニールと色違いのチェックのジャケットを着ていたのはパロディーか?

土, 2012-09-29 21:54 - Neil Young & Crazy HorseGlobal Citizen Festival
チェックのジャケットのDave GrohlとNeil Young

静かになったステージにはGlobal Citizen Festivalのロゴが。6万人(主催者発表)の観客とともにぞろぞろと出口を目指す。みんなゴキゲンで普通のセントラル・パークの利用者が何事かと立ち止まって見ている。

土, 2012-09-29 22:05 - Global Citizen FestivalGlobal Citizen Festival
Global Citizen Festivalのロゴ

東側、Metのすぐ脇に出たのでどうやって帰ろうかと考えているとバスが来たのですかさず乗車。乗る人が意外と少ないのはみんな日頃バスに乗っていないからだろうか?珍しく交通量の少ない5th Aveをバスはスイスイ走って42ndへ、地下鉄に乗り換えて11時過ぎに帰宅。思ったよりだいぶ楽だった。お昼の残りとワインを摂取して就寝。