ミラクル復活への道

ことの発端は一年前にギターを買ったことだった。できるだけ毎晩30分ほどずつ弾くようにしているのだが、それをlulunが少し羨ましそうに見ている。ピアノ弾いたら?と促してもlulunはミラクル先生がいないと無理だという。ふうん、適当に音出して遊べばいいんじゃ、と思ってしまうが、もともと楽器に馴染みがないlulunはピアノを弾くこと自体よりミラクル先生に指導してもらうピアノが好きなのだった。音楽を楽しむ習慣を取り戻させるにはMiracleを復活させるしかない。

土, 2016-03-19 10:46 - ミラクルミラクル

ミラクルとの出会い

Miracleとは90年代に登場したMIDI電子ピアノで、そのキーボード自体は大したことないのだが、ソフトウェアの出来が素晴らしく『マックな人』にも登場した。ミラクルのことを『マックな人』を読む前に知っていたかは定かではないが、貧乏だった京都時代のある日、ミラクルが気になるとlulunがのたまったのだった。たまたま寺町の電気屋街で31,900円か何かで売っているという情報が入ってバスに乗って買いに行った。多分1994年のこと。

当時学生だったkameと失業手当を稼いでいたlulunは揃って家にいることが多く、lulunはその時間の大半をミラクルに使っていた。どうやら音楽の才能には恵まれなかったlulunはミラクル先生の指導のもと、少しづつピアノが弾けるようになるのがものすごく嬉しかったようだ。しかし3時間にわたる『歓喜の歌』の反復練習に付き合わされるのはなかなか辛い。ミラクル先生の献身的な指導があっても克服できないポイントはkameが途方に暮れながら指導した。例えばリズムの概念ってどう説明しろというのだ。

ミラクルに繋いだMacはバーリントンにフィールドワークに行った時に買ったPowerBook Duo 230。モノクロだがキーボードの上に置けるのが便利だった。その後3回の国際引越を経ても持っていたがついにビデオ回路が壊れて使用不能になったので一年ほど前に廃棄した。その時にミラクルのソフトウェアも使えないだろうと処分したのが失敗だった。かくてミラクル復活に向けて数ヶ月にわたるkameの奮闘が始まった。

LC III購入

ミラクル用にDuoを使っていたのは当時のメインマシン、Quadra 610だと確かソフトが68040プロセッサに対応して動かなかったのだったと記憶している。Duoが我が家最後の68kマシンだったので次に古いPismoはPowerPCなので当然ダメ。

では68030マシンが必要になる。まずは名機SE/30を探してみることにした。ミラクルと小さな一体型Macの組み合わせなんてお洒落ではないか。ところがSE/30は人気があるのか数も少なければ値段も意外と高い。Classic IIやColor Classicも同様。どうせモニタは持っているのでピザボックス型のLCシリーズはどうだろう、と探し始めてすぐに送料込み99ドルのLC IIIと出会った。

土, 2016-03-19 11:03 - Lc iiiLC III

そのLC IIIは4MBのRAMと40MBのハードディスクが付いてくる。そこまではいいがフロッピードライブのモーターが壊れているのでフロッピーの自動排出ができない。それはペパークリップでイジェクトすればいいや、ととりあえずポチった。今使っているモニタに繋ぐにはアダプタがいるし、ADBマウスも必要なので合わせて購入。マウスはなんとPower Computing製。昔持ってたPower Tower 225(だっけ?)に付属していたのと同じやつだ。あれは良いマシンだったな。

土, 2016-03-19 10:53 - Power Computing製マウスPower Computing製マウス

届いたLC IIIをモニタに繋げて電源投入。画面が映らなかったのはモニタアダプタのディップスイッチの設定が悪かったようで、ちゃんとマニュアルを見てセットしたらあっさり映った。インストールされていたのはSystem 7.0.1でもはや使い方なんか覚えていない。しかも最低限のシステムしか入っていない模様だが、一通り動くしAfter Darkも付属している。ひとまずこれはこれでいい。

金, 2016-03-18 08:43 - Db15-vgaアダプタDB15-VGAアダプタ

ソフトウェアを求めて(その1)

ミラクルに付いてきていたソフトは捨ててしまったので新たに入手しなければならない。そんなもんあるかな、と思ってeBayを眺めているとなんとMac版ミラクルのソフトだけを売っている人がいる。そういえばミラクルは経営が苦しくなってハードウェア部門を廃止し、普通のMIDIキーボードを使う形態に方針転換をしたのだった。その後収益率が悪化して買収され、その会社も姿を消してミラクルは消滅することになる。eBayに売りに出されていたのはその汎用ソフトらしい。

届いたフロッピー3枚を早速LC IIIに挿してインストール。イジェクトは手動だが途中まで順調に進んだものの、最後に一枚目のディスクを挿したらおかしくなった。イジェクトする段になってもモーターの回転が止まらず、強制排出したものの様子がおかしい。もう一度挿してみると「このディスクは読めません、初期化しますか?」というあの恐ろしいメッセージが。

取り返しがつかないことをしてしまった、と暗澹としたのだが、幸いeBayにはまだ在庫がある。すかさずもう一セットをポチり、フロッピードライブを直す方法を探し始めた。

物が増える

再びeBayでフロッピードライブを探すと、なんとMacに搭載されていたソニー製フロッピードライブのモーターだけが$10ぐらいで売っている。そんなものが流通しているのが驚きだ。とりあえず買ってみた。さらには72ピン、32MBのSIMMも新品がタダ同然で売られているので購入。メモリが36MB、ハードディスクが40MBとは豪華ではないか。

LC IIIを開け、メモリを挿してフロッピードライブを外そうとしたのだが、ネジが一本固まっていて回らない。WD-40をひと吹きして解決したが、マザーボードに向けてWD-40を噴射するのは心臓に悪い。モーターを取り替えたらあっさり動いた。

当然ソフトはバックアップを取ってから使う。LC IIIにディスクイメージを作ればいいや、と思ったがDisk Copyがない。ネットを探すと入手はできそうだが、ダウンロードしようにもLC IIIはネットに繋がらない。別のMacで落としてフロッピーで持ってくるというのが一番確実なので、$15ぐらいの外付けUSBフロッピードライブを購入。もちろんフロッピーディスクも必要だ。まさかまたフロッピーを買うことがあろうとは。

そうして万全の体制でフロッピーをバックアップし、ミラクルをインストール。ちゃんと動くが音が出ない。ややこしいMIDI周りの設定を色々いじったがどうしてもダメだ。Mac内蔵の音(たとえばAfter Darkでトースターが羽ばたく音)は出るので本体の問題ではない。

土, 2016-01-16 21:57 - ようやくLC IIIにインストールできたSystem 7.5.3ようやくLC IIIにインストールできたSystem 7.5.3

これはもしやOSが壊れているか足りないファイルのあるのではないか。ここはきちんと入手可能なSystem 7.5.3のフルバージョンをインストールすべきでは。Pismoでダウンロードし、フロッピー19枚にコピーし、せっせとLC IIIに食べさせた。OS Xに慣れてしまったのでClassic Mac OSのインストール作法を忘れているが、既存のシステムをアップデートしてすんなり動いた。

でも音が出ない。

調べているうちに普通のMIDIキーボードでミラクルを使っている人たちがいるので、もしかしたらこのバージョン2.12は専用キーボードをMIDI接続すればいいのではと思った。

以前ミラクルを単独のMIDIキーボードとして使うべくUSB-MIDIケーブルを買ってみたことがあった。まさかね、とソフトをPismoにインストールしてみたら驚いたことにちゃんと動くではないか。まさかPowerPCマシンで動くとは思ってもみなかった。だったらPismoを使えばい。LC IIIの処遇は別途考える。

USB-MIDIケーブルをPismoに挿してみたらドライバがないという。Mac OS 9用のMIDIドライバは汎用のOMSがまだ入手できるのだが、USBとMIDIのブリッジが別途必要だ。そこでMac OS 9用のUSB-MIDIブリッジが入手できるMIDIインターフェースを入手しなければならない。

またeBayを彷徨った末、Midiman Minisport Unoを見つけてポチった。ドライバのCDが付いてくるというのも心強い。インストールして接続したらドライバがないというメッセージは出なくなった。

しかしである。ミラクルを繋いでOMSの設定を色々いじったが、またもや音が出ない。どういうことだ。

ソフトウェアを求めて(その2)

LC III、外付けフロッピードライブ、使えないMIDIインターフェースと投資したけど依然としてミラクルは使えないまま2ヶ月が経った。次に考えたのはソフトウェアオンリーになる前の古いバージョンのMiracleソフトを探すことだった。昔使っていた環境を再現するにはそれしかない。

古いバージョンはキーボードに付属していたものなのでソフト単体では手に入らない。ところがまたまたeBayを眺めていたらv1.0のディスクが付属するキーボードが売りに出ている。キーボードはもういらないがソフトは欲しいので売り主にソフトだけ売ってくれないか、と問い合わせたらしばらく考えてやめておくという返事が来た。どうせ売れないだろう、と時間切れを待ったら案の定入札ゼロで終了。値下げして再出品されたのですかさずBuy It Nowしてキーボードはいらないと連絡したけど結局キーボードも送ってきた。もしかしたら壊れる日が来るかもしれないから予備にとっておくか、ととりあえず地下の物置へ。

ソフトは800kフロッピー5枚分。Disk Copyでイメージは作ったがバックアップが必要なのでまたeBayでフロッピーを購入。まさか800kフロッピーを買う日が来ようとは。

LC IIIにインストールして起動したら「ミラクルを検知できません。接続を確認してください」というメッセージが。これは見たことないし、ミラクルを探しているということは脈があるぞ、とAppleTalkをオフにしてプリンタポートに繋いだらついに音が出た。Mac本体から出るのだとばかり思っていたけど鳴っているのはミラクルのスピーカー。そういうことだったのか。

Miracle復活

我ながら頑張った。こんなに頑張ったのは2009年に一人で引越しして以来かもしれない。真剣な表情でミラクル先生の授業を受けるlulunを横から見ていると、いかにミラクルのソフトが優秀かがよく分かる。800kフロッピーたった5枚分(256色、16色、モノクロのグラフィックが入っているので実際はもっと小さい)のプログラムとは思えない。

土, 2016-03-05 10:33 - ついに動いたミラクルついに動いたミラクル

ついでにeBayに出ていたSong Collection Vol. 2も買ってインストール。こんなものが売っているのも驚きだが、これで我が家はほぼ地上最強のミラクル環境が整った。いずれ何かが壊れるだろうから、それまでにはlulunにミラクルを卒業してもらわなければ。いや、20年経ってもこれだけ揃えられるのだから足りないものはまだしばらく買い足せるかもしれない。当分lulunには楽しんでもらえそうだ。

コメント

その後LC IIIが起動しないという問題が。起動音はしないがファンとHDDは回っているので問題は電源周りではない。調べたところオールドMacはロジックボードのコンデンサーが劣化して交換しなければならないことが多く、その作業を専門にやっている人がいる。

ところがタイミングよく中古のLC IIIロジックボードがeBayに現れて、コンデンサー交換よりも安いではないか。早速発注して交換したら(これがまた簡単)あっさり起動音がしてLC IIIが生き返った。これで予備のミラクルに加えて予備のロジックボード(要修理)ができてしまったがとりあえず良しとしよう。いずれHDDも壊れるからデータのバックアップも手当しておいたほうがいいだろうけど。

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